Rally Mongolia 2011) ETAP-2の1日目 自己嫌悪(後半)

ノーヘルでセローとは思えない全開音を響かせ、砂丘の裾を走ってくる謎?の人物・・・
砂丘の上から手を振ると、こちらに気付いて近づいてきたので、私も砂丘をかけ下りてそちらに近づく。
見慣れない黒人系のイケメンで、ジャケットもヘルメットも身につけていなかったが、モトパン、ブーツ、プロテクターは身につけていて、IDカードも首からぶら下げている。英語で話しかけてきたので、なんとかコミュニケーションはとれそう。

「どうしたの?」
「バッテリー上げてしまって、キック始動にトライしてたんだけど、私の足、短すぎて、、、もう4時間も!あははは・・・ところで、君はSSERのスタッフ?」
「違うよ。バイクの競技者だよ。」
「え?どこからの参加?」
「僕はモンゴル人だよ。」
「えーっ!?」
「そう、モンゴル人っぽくないって、いつも言われるよ。」
「確かに!でも、君はナイスガイだよ。で、どうしてこのバイクを運転してるの?これ、君のバイクじゃないよね?」
「このデューンは彼女にはハードすぎるから、代わりに運転してたんだ。僕のバイクは、手前のデューンでクラッシュしてそのままそこにある。肩も折れてるみたいなんだ。」
(は??どういうこと??)
「このバイクのライダーは?」
「後からM1カーに乗って来るよ」

!?!?なんだ?なんだ??どうなってるんだ???
まあ、とにかく、私を回収に来たわけじゃない事だけはわかった。



「M1カーは、すぐ来るの?」
「わからない。」

よし、それなら・・・

「ねえ、ねえ、ちょっと、こっち来てバイクを支えててもらえる??」
と砂丘の上に彼を引っぱって行く。

バイクを右から支えてもらい、倒す心配が無い状態で思いっきりキック!キック!!キック!!!
ぜぇ、ぜぇ、、、ダメかぁ~・・・
彼も右側からキックしてくれたが、両手の平を上に向けて肩をすくめる。

「いいの!!M1カーが到着するまでは粘るんだから!ちゃんと支えててよっ!!!」

キック!キック!!キック!!!
私がのびると彼が面白半分にキック、キック、キック、、、しばらく交代でそんなことをしているうちに・・・

グォボボ!ドドン!ドドドド・・・

やったーーーーーっ!!!(^O^)/
エンジンさえ掛かればもう大丈夫!!
「きゃ~あ!!ありがと~!ありがと~!!Good Job! Good Job!!」
ついつい、肩を骨折してるって人の肩をポンポンたたいて(あー!そうだった!ごめん、ごめん)大喜び・・・(^^;;;
エンジンが掛かったからオンルートを進みたい、と本部にまたまた連絡。
幸い、CP1はまだ開設されているとのこと。
助けてくれたイケメンモンゴリアンにお礼を言って、再出発。

呆気ないほどすぐにCP1に到着・・・
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あ~、こんなにすぐとわかっていたら、一休みしようなんて気にならなかったのに、、、と、ますますつのる後悔の念。(ーー;;;
結局、あの場所に5時間もストップしてしまった。
そうなると、しわ寄せはその後の行程にくることは明らか。

CP1で水1.5Lもらって、大急ぎでRCPに向かう。
・・・あれ~??
なんと、CP1を出発してすぐ、ICOが不審な?動きを始めた。
せわしなくオートリセットが掛かっているような感じ。
え~~ん、こんな時に、マジ??(ToT)
仕方ないので、三角屋根の建物のコマでKTMの純正デジタルメーターを合わせ、ICO代わりにして走る。
しばらく行くと右近さんのBMWがピストを通せんぼするように停めてあるのを発見。その手前にはコマ図にはない大きなギャップが!!
え!?右近さん、クラッシュ??大怪我でなければいいけど、、、

RCP到着時には既にうす暗くなりかけていた。
スタッフのT森さんが
「木の実ちゃん、山田さんから給油したらすぐに出発させるようにって電話があったんだけど、大丈夫かい?無理なら休んでっても良いよ。」
と説明があった。完全に日が暮れる前に、少しでも距離を稼いでおきたいので、それは大歓迎!!
ふと見ると、タンクローリーの前で休んでいたのは右近さん。良かった、ヘリで搬送するほどの大ケガではなかったみたい。
ちょっとだけ話して、10分でRCPをスタート。

・・・が!!残念ながら、日はあっという間に暮れてしまった。
ヘッドランプをハロゲンからHIDに交換。イグナイターというやつがICOの横についているんだけど、これがICOの誤動作を招く恐れがあるということで、普段はハロゲンで走っていた。今日はICOがとっくにおかしくなってるし、まだ200km近く残っているんだから、これはもう、HIDにするしかないでしょう。。。

でも、日が暮れた途端にペースはあっという間に落ちる。月夜で明るいはずなのに、電柱やオボー等、周囲の目印も良く見えない。すぐにミスコースしてGPSを頼りに進むことになるが、そのGPSも電源スイッチを入れてもなかなか起動しなかったり、起動しても操作中に急に電源が落ちたりする。

(このまま振動を与え続けたら、GPS、完全に壊れるかも・・・)

そう思ったので、GPSホルダーから外してポケットの中に入れ、必要な時だけ取り出して確認することにした。
あっちへ行って引き返し、こっちへ行って引き返し、、、これはマズイ!走っても走っても、全然コマ図上の距離が進まない。
やっと340km付近手前のGPSポイントに辿り着いて考えた。

(だいたい、昼間だってミスコースの連続なのに、暗がりの中でまともにナビができると思う方が甘い。それに、明日は300kmと距離が短く、スタートも昼に変更すると言っていたっけ・・・
よし、このまま動いて体力を消耗するより、日が昇ってから残り140kmを一気に走ろう。)

本部に現在地とビバークする旨の連絡を入れたところ
「そこから2kmくらいで村のCP2なので、ビバークするならそっちの方がスタッフもいるし安全です。そちらに行ってください。」
とのことで、もうひと踏ん張り、、、とCP2に向かう。
村の中でやっぱり少し迷子になりかけたけど、なんとかCP2を発見。

CP2のスタッフはS砂さん
「お疲れ~、Cocoが待ってたんだよ~!」
「はぁ??なんで待ってたの??」
Cocoは韓国のレディースエンデューロチャンピオンで、今回初めてこのラリーにBMW G450Xで参加している。2006年アジアインターナショナルエンデューロのレディースチャンピオンという経歴(?)もある。
ふっふっふ・・・しかし、そのアジアインターナショナル、1999年の初代レディースチャンピオンは、何を隠そう私なのだよ!
いやつまり、アジアインターナショナルのレディースチャンピオンなんてのは、大した経歴ではないんだな(^^;;;
Coco、日本のエンデューロ(それもJECね!)に一度修行に来なさい!凄いライダーがわんさかいるから・・・という私はJEC、恐れ多くて参加できない人だけど(ーー;;;

話が脱線・・・
そのCocoが、誰かきたら、その人にくっついて走る気満々で待っていたらしい。

(は~・・・だからさぁ、なんで人の後ろにくっついて走ろうって考えなの?
全く、どいつもこいつも!!(ーー#)

「Coco、悪いけど私はもうここで寝るから。再スタートは日が昇ってからね、、、」
英語が話せないと言っているけど、私と同じくらいは解かっているようで、動揺しているのはなんとなくわかる。
「明日のスタートはお昼だから、朝ここを出ても大丈夫だよ、多分」

エマージェンシーシーツにくるまって横になったら、S砂さんが
「あれ、地べたに寝てるの?これ、空気が抜けちゃうんだけど、良ければ使って・・・」
と、マットを貸してくれた。
昨夜、トラックがつかなくてマットもなしで転がってた事を思えば天国です、ありがとうございます!
暑くも寒くもない、涼しい風が時々吹いてきてとても気持ちが良い。思ったよりグッスリと休むことができた。


まだまだ、つづく・・・(^^;;;

by konomi-caffe | 2011-09-04 20:47 | Rally Mongolia 2011